ギガンテウスオオツノジカ(Megaloceros giganteus)は、200万年前 - 7,700年前(新生代第三紀鮮新世後期 - 第四紀完新世)のユーラシア大陸北部に生息していた大型のシカ。 マンモスや毛サイと並んで氷期を代表する動物として知られる。英名からアイリッシュエルクとも呼ばれる。巨大な角の後枝を持つのが特徴で、学名は「巨大な枝角」を意味する。なお、日本語において「オオツノジカ」と呼称されているものの、日本で発掘されるヤベオオツノジカ(Sinomegaceros yabei)は別属別種である。
概要
最大のものでは肩高約2.3m、体長3.1m、体重700kgに達した大型のシカであり、その名の通り巨大な角を持つ。角の差し渡しは最大3.6m以上、重量は50kgを超えるといわれる。この角を支えるため、首筋から肩にかけての筋肉が発達していた。この角は発情期において性的ディスプレイ及び闘争の手段として使われたと思われる。それによって傷を負い、動けなくなって餓死したと思われる個体の化石も発見されている。
現生のヘラジカも大型の角を持つが、両者の類縁は遠い。分類的にはアカシカに近いという説もあるが、ダマジカとは姉妹群に該当するという説もある。
旧石器時代の壁画にかれらの姿が描かれており、おそらく人類の狩猟の対象になったと思われる。 2004年、シベリアの地層から発掘された本種の化石が約7,700年前の完新世のものと特定され、それまでの仮定であった絶滅時期が数千年単位で更新された。
分布
ヨーロッパからアジアの中北部に生息。特にアイルランドの泥炭地帯から多数化石が発見されている。そのため、かつてはアイルランドオオツノジカなどとも呼ばれた。氷河周辺の草地や疎林などで暮らしていたと思われる。
その他
ニーベルンゲンの歌に見られる「Shelch」という動物とギガンテウスオオツノジカを関連付ける者もおり、紀元前700年から紀元前500年ごろまで少数がスティリア地方や黒海付近に生息していたとする説もある。
写真
参考文献
- 富田幸光 文、伊藤丙雄、岡本泰子イラスト 『絶滅哺乳類図鑑』 丸善、2002年、ISBN 4-621-04943-7。
- ティム・ヘインズ、ポール・チェンバーズ 著、椿正晴 訳、群馬県立自然史博物館 監修 『よみがえる恐竜・古生物』 ソフトバンククリエイティブ、2006年。
- 今泉忠明 『絶滅巨大獣の百科』 データハウス、1995年、ISBN 4-88718-315-1 C0345。
脚注




![ギガンテウスオオツノジカのイメージ写真1のイラスト素材 [104189116] PIXTA](https://t.pimg.jp/104/189/116/1/104189116.jpg)