ルーン文字(ルーンもじ、英語: Runic)は、Unicodeの44個目のブロック。

解説

古代から中世にかけてヨーロッパにおいてゲルマン人が話していた古英語、古フリジア語、古ノルド語などのゲルマン諸語の表記に用いられたルーン文字を収録している。

ルーン文字は音素文字のうち、母音と子音にそれぞれ独立した文字が割り当てられているアルファベットに分類される。左から右に横書き(左横書き)し、単語毎に分かち書きをする。

なお、ルーン文字には使われていた時代や地域によってゲルマン共通ルーン(Elder Futhark)、北欧ルーン(Younger Futhark)の長枝ルーン(Long-branch runes)および短枝ルーン(Short-twig runes)、アングロサクソンルーン(Anglo-Saxon runes)、中世ルーン(Medieval runes)などのいくつかの変種が存在するが、本ブロックではそれらを包括して収録している。ただし、一部の異体字や変種などはUnicodeに未登録である。

文字名について、それぞれの字母のUnicodeにおける名称にはゲルマン共通ルーン、アングロサクソンルーン、北欧ルーンそれぞれにおいて推定されている文字名がラテン文字転写の前に付いている。(例:U 16A0 ᚠ は文字の名前がゲルマン共通ルーンでは*fehu, アングロサクソンルーンでは*feoh, 北欧ルーンでは*féと推定されているため、Unicodeにおける文字名がRUNIC LETTER FEHU FEOH FE Fとなっている)

Unicodeのバージョン3.0において初めて追加された。

収録文字

小分類

このブロックの小分類は「字母」(Letters)、「約物」(Punctuation)、「黄金数用ルーン」(Golden number runes)、「トールキン記法用の拡張」(Tolkienian extensions)、「暗号文用の字母」(Cryptogrammic letters)の5つとなっている。

字母(Letters)

この小分類にはルーン文字のうち、ゲルマン共通ルーン、北欧ルーン、アングロサクソンルーン、中世ルーンに含まれる基本的な字母が収録されている。

約物(Punctuation)

この小分類にはルーン文字のうち、句読点などの約物類が収録されている。

黄金数用ルーン(Golden number runes)

この小分類にはルーン文字のうち、ルーン暦において黄金数を表すのに用いられる文字が収録されている。

黄金数は1から19まで存在するが、北欧ルーン(Younger Futhark)には16種類しか文字が無いため拡張のために用意された。

トールキン記法用の拡張(Tolkienian extensions)

この小分類にはルーン文字のうち、小説家J・R・R・トールキンが著した小説内において古英語の表記に用いられる文字が収録されている。

トールキンの著作のうち『指輪物語』では人工言語群であるクウェンヤやシンダール語などのアルダの言語を表記するための文字としてルーン文字ではなく彼が発案したオリジナルの文字体系であるテングワールやキアスが用いられているが、『ホビット』やその他の著作の一部では古英語表記用のアングロサクソンルーンにいくつかの拡張文字を加えたルーン文字を用いているため、この記法をコンピューター上で表記可能にするためにUnicodeのバージョン7.0で追加された。

暗号文用の字母(Cryptogrammic letters)

この小分類にはルーン文字のうち、現在は大英博物館に保管されている8世紀イングランドの出土品であるフランクの棺に刻まれているルーン文字による暗号に用いられる文字が収録されている。

文字コード


履歴

以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。

出典

関連項目

  • ルーン文字

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